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高還元SESとは、還元率(マージン率)が高いSES企業のことを言います。
通常のSES企業では、還元率は案件単価の50~60%が相場ですが、高還元SES企業では月単価の65%程度が本人に支払われます。
中には、80%以上という圧倒的な還元率を明示する企業も存在します。
その特徴だけ聞けば、単に「給料が良いSES企業」という印象もあります。しかし、「高還元SESはやめとけ」という声を耳にすることも…
結論としては、企業によるので、高還元SESと謳う企業が全て「やめとけ」というわけではありません。
とはいえ、高還元SESを謳っていながら、実態としては一般的なSES企業となんら変わらない企業や、むしろ悪質な企業も存在するため注意が必要です。
当記事では、高還元SESについて詳しく解説します。
当記事の信頼性…当メディアは、株式会社ウィザードが運営しています。
受託・SES案件の開発実績は2000件以上。数多くのエンジニア、IT企業、転職事例を見てきました。
高還元SES企業について最初にお伝えしたいのは、「還元率」の計算方法に決まりはなく、会社によってバラバラであることです。
特に経費の扱い方は、明示的な決まりがなく会社ごとに異なります。そのため、単純に「単価 × 還元率」が給与になるわけではありません。
例えば、
という企業があるとします。
単価が100万円だとすると、お給料は70万円!?と思いきや…
社会保険料や雇用を維持するための維持費など「経費」を還元した金額から引くケースがあります。単価100万円で還元率が70% = 70万円だとしても、経費が30万円なら、お給料は40万円となります。
高還元SES企業を目指している場合、これらの事項について、事前に確認しておくと良いでしょう。
高還元SES企業を探している方に注意してほしいのは「偽の高還元SES企業」の存在です。実際には高還元ではないのに「高還元SES」というキーワードを利用して、求人をしていることがあります。
多くのSESエンジニアにとって「高還元SES」を掲げるというのは非常に魅惑的な、訴求力の高い求人方法となります。
中には、90%や100%など、現実的にはあり得ない還元率を提示している企業も存在します。社会保険費用やその他雇用を維持するための費用を考慮すると、無理な数値です…怪しすぎますね。
多くは優良企業だとは思いますが、実態をしっかりと把握してから就職することをおすすめします。
SESエンジニアでは、今の現場が終わって次の現場に行くまでの間、自社で待機することがあります。
会社によっては、待機期間中は6割支給など、基本給が減給されるケースもあります。
そのような待遇の会社はブラック企業である可能性が高いので、すぐに転職に向けて動くのが無難です。
そもそも待機期間になってしまったのは、エンジニア本人だけの都合ではないですよね。優秀なSESエンジニアであっても、現場の契約期間や、他案件との兼ね合いでどうしても待機期間が生じることはあります。
そのため、減給されるのは理不尽と言えます。
SESの単価は、中小企業からSIerへ常駐する場合、おおよそ以下のようになります。
新人エンジニア(テスター、PGなど) | 45万円〜60万円 |
中堅エンジニア(プログラマー、SEなど) | 60万〜80万 |
シニアエンジニア(PM、リーダークラス) | 80万〜100万円 |
※弊社の実績や、営業回りした際の平均金額です。
これらの平均金額を大幅に下回る単価が低い企業は、避けた方が無難です。高還元であったとしても、単価が安いのであれば意味がありませんよね。
エンジニアにとっては、会社と自分の取り分が明示的にわかるため、会社から不当に抜かれているケースを排除することができます。会社への信頼度が上がりますし、帰属意識も高まりますね。
そして何より、還元率の低い企業にいるよりも、年収UPを狙うことができます。
高還元SESでは、プログラミングだけではなく、設計業務(外部仕様書、内部仕様書の作成)など上流工程の作業スキルも必要です。
さらに、リーダーとしてのマネジメントスキルも必要となってきます。チーム内で仕事を振り分けたり、時には新人の面倒を見たりすることもあるでしょう。
こうしたスキルが求められることで、スキルアップにつながります。
高還元SESでは、企業側がエンジニアに対して高い評価をしているため、働き方に関しても自由度が上がる傾向があります。
具体的には、リモートワークやフレックスタイム制などを導入して、柔軟な働き方を提供できているケースが多く見られます。
高還元SES企業では、通常のSES企業よりも企業側の取り分を減らしています。その原資としては、良質な一次受けのSES案件で利益率を上げていく必要があります。
一次受けのSES案件は、開発スキルの付く良質なSES案件が多い傾向にあります。また、エンジニアのスキルUPによってさらに多くの良質な案件が集まる好循環も生まれるため、エンジニア側が案件を選ぶことも可能となります。
高還元SESは、給与が高い代わりに、一方でエンジニアとしてのスキルレベルも求められます。主体的に、自分一人で開発を進められることが求められます。経験済みの技術に限らず、未経験の技術についても同様です。
ヘルプがいらないエンジニアなら、会社も教育コストがかからず、余計な経費がかかりませんね。そのため還元率をあげることができます。
高還元SES企業は、なんでも自分一人でこなす「フルスタックエンジニア」や、特定の知識のスペシャリスト等、優秀な人材が集まる環境です。
そのため最新の知識やスキルが常に求められるため、競争が激しいと言えます。スキルアップや自己研鑽を怠ると、あっという間に置いて行かれてしまうため、気が休まることがないでしょう。
高い給与水準ということは、責任が大きくなるということの裏返しでもあります。
通常、SESでは「準委任契約」という契約形態を取り、エンジニアはあくまでも時間単位の労働力を提供し、成果物への責任を問われることはありません。
一方で、高還元SESでは通常のSES契約とは異なる、複雑な契約体系を結ぶことも珍しくありません。その結果として、成果物への責任を問われることもあり、プレッシャーがかかる場面も少なくないでしょう。
通常のSESよりも多くのスキルや成果を求められる高還元SESでは、一般的なSESと比べると、労働時間が長くなる傾向が見られます。
必ずしも長くなるわけではありませんが、納期前などはかなり忙しくなることもあるでしょう。
ホワイトな高還元SES企業を効率的に目指す方法としては、転職エージェントに相談すると良いでしょう。
転職活動は情報戦です。良質な情報を手に入れられるかどうかで勝負が決まります。
※各社のプロモーションを含みます。
転職してあなたの人生を変えられるのは、あなただけです。行動に移しましょう。
なかなか腰が重いのは、痛いほど分かります。しかし、転職に関する作業は苦痛ですが、転職する時だけです。
一方で、転職しなかった場合は、ずっと苦痛になる可能性があります。
その後のエンジニア人生が左右される重要な決定事項です。この記事をお読みになったあなたが、良いエンジニア人生が送れることを願っています。
株式会社ウィザードのアニジャと申します。SE(システムエンジニア)歴10年。 経歴は、SES客先常駐→.NETエンジニア→Webマーケター。SESエンジニアで磨耗した自身の経験から、SES業界について情報発信しています。 株式会社Synergy Career様が運営するCareer Journalにて、SES関連の記事を監修。 ■保有資格 基本情報技術者、応用情報技術者、情報セキュリティスペシャリスト