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SESは勤務先がコロコロ変わったり、自社に全く帰らないので帰属意識が芽生えないなど、問題点も多い働き方です。
筆者も5年ほどSESエンジニアを経験しましたが、あまり良い思い出ではない、というのが本音です。
当記事では、SES・客先常駐を辞めたい!という方に向けて、具体的な脱出方法や、おすすめの転職方法をご紹介しています。
当記事の信頼性…当メディアは、株式会社ウィザードが運営しています。
受託・SES案件の開発実績は2,000件以上。数多くのSESエンジニア、SES会社、SES転職事例を見てきました。
SESで現場に常駐すると、現場によって勤務先が変わります。せっかく慣れてきたのに、契約終了で次の現場に行かなくてはならない。というのは疲れてしまいますよね。
また、現場によっては通勤時間が非常に長くなる場合もあって、その点も苦痛です。気分転換になって良い。という方もいらっしゃるかもしれませんが、筆者は辛かったです。
SESでは、多重下請け構造の案件が多く存在します。発注企業と受注者の間に、仲介企業が何社も挟まっている構造のことです。
自社に案件が回ってきた段階で、4次請け、5次請けなど「商流が深い」案件がゴロゴロしています。顔も名前も知らない仲介業者に、自分の単価から中間マージンが毎月抜かれていると思うとゾッとしますね。
全てのSES案件が当てはまる訳ではないものの、SES業界ではよくある話です。
SESで現場に出ていると、自社の社員と全く会わないケースも多々あります。すると、仕事に対する評価基準が現場を通したものになります。
直接的に自社の上長から評価を受ける場合と比べると、適切な評価がなされているかどうか不明瞭です。
SESでは、現場は自社のSES営業が持ってきた案件に参画することが普通です。そのため「案件ガチャ」状態で、選べないケースも多いでしょう。
そのため、炎上している案件や、テスターやコールセンターといったスキルになりにくい案件に回される可能性があります。
SESで現場常駐していると、現場に行きっぱなしで、自社にはほとんど行かないという状況になりがちです。
そうすると、もはや自社に対する帰属意識は芽生えず、「私はいったいどこ会社の誰なんだろう。」と感じることもしばしばです。
帰属意識が無いと、仕事へのモチベーションも上がらず、退屈な日々を過ごすことになるでしょう。
⇨SESで帰属意識が希薄なときはどうする?常駐5年経験エンジニアが徹底解説。
SESエンジニアは、多重下請け構造によって給与が少なくなりがちです。中間マージンや、案件を紹介するSES営業の人的コストなどが発生して、エンジニアの取り分が少なくなってしまいます。
なお、SESエンジニアの平均年収は300万~400万円程度です。
一方で、システムエンジニア(SE)の平均年収は550万円程度。SESエンジニアですと、「経験15年以上+役職」というポジションで初めて届く年収です。
出典:政府統計ポータルサイト「e-Stat」-賃金構造基本統計調査
SESの契約期間が切れるタイミングが、スムーズに現職を抜けられるタイミングと言えます。
とはいえ、契約期間内に退職しようとする場合でも損害賠償の支払い義務や、罰則等はもちろんありません。労働基準法によって「賠償の禁止」が定められているためですね。
理不尽な引き止めなどによって、自分のキャリアパスが乱されることだけは避けたいので、きっぱり断りましょう。
引き継ぎが適当だと、後々迷惑がかかってしまいますので、しっかりと行うことをおすすめします。
作業内容、手順などをドキュメントにまとめておくと良いでしょう。また、自分しか握っていない領域などがあれば、後任に伝えます。退職後に連絡がくることだけは避けたいですね。
引き継ぎをしっかり行わないと、業務に支障が出てしまう可能性があります。そうなってしまうと、穴埋め分を損害賠償として請求…という話にもなりかねませんので、注意が必要です。
自身のキャリアパスをしっかり描けて、やりたい業務内容とマッチした企業を選べることが理想です。
その際には、そもそも自身の将来のキャリアパスが、正確に測れているかどうかも大切です。
SESエンジニアからのキャリアアップとして、自社開発企業や社内SEへの転職が挙げられます。SESエンジニアの実務で得られたスキルを生かせるため、スキルやキャリアパスのマッチング度が高ければ、転職することは十分に可能と言えます。
そのためには、今SESで行っている現場で、ただ漫然と客先常駐するのではなく、スキルを高めておくことが必要です。
残念ながら、スキルを得にくい現場、例えば品質管理やテスター業務などにいる場合は、まずはより良質なSES案件に常駐できる企業に転職しましょう。
SESを辞めたい…と思ったときには、その理由に応じて対処方法が変わります。
現場の上司とソリが合わずに、プロジェクトを抜けたい場合は、自社の営業マンに対して退職の意を伝えると良いでしょう。営業マンでなくても、信頼できる自社のメンバーから伝えるのが、スムーズにプロジェクトを抜けるコツです。
いきなり上司に相談してしまうとうまく話がまとまらない可能性があるためです。
迷惑がかからないように、1ヶ月前には退職の意向を伝えるようにするのがマナーです。
また、転職先、あるいは次の現場を先に決めてしまうのも良いでしょう。企業としても、次の職場が決まっている人間は引き止めにくいためですね。
SESをやめようとしたときに、ブラックな企業ですと、無理やり引き止められてしまうケースなどがあるかもしれません。
その際に、バックレ(無断欠勤、無連絡)などの強行手段を取るのはおすすめできません。法律的にも、倫理的にも色々と引きずったままですと、後々、自分が不利になってしまうような可能性も出てきます。
無理のない形で円満退社することを目指しましょう。
有給休暇の取得は、労働者の権利です。残っている日数を全て消化できるように調整しましょう。
とはいえ、最後にまとめて取得すると迷惑がかかる可能性がありますので、転職の意思を伝える前などに、毎週ごとに取るなど工夫します。有給休暇は、転職活動のために利用するのがベストです。
SESからの転職で難易度が下がる方法があります。それは、「常駐先に転職する」というパターンです。
この企業に入りたい!と思える現場に常駐できている必要はありますが、SESエンジニアならチャンスがあるといえます。
いわゆる「引き抜き」ですね。引き抜く側の企業にとってもメリットが多いです。すでに業務を行っていた人物なので、人柄や仕事ぶりについて明確に把握できています。そのため、雇ってからのミスマッチが起こりづらく、雇用にかけるコストが少なく済みます。
引き抜きについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
SESからの転職先としては、以下のIT職種が挙げられます。
これらの職種については、以下の記事でより詳細を解説しています。
なお、SESから転職する際に、必ずしもSES以外に転職する必要はありません。転職して、今の現場よりも優良な現場を目指すのも一つの道です。
身売りSES・客先常駐メインではない、優良なSES企業は存在しています。
優良なSES企業は、客先から直接仕事をもらっていたり、リモートのSES案件を受注している会社がおすすめです。
SES・客先常駐を効率的に脱出する方法としては、転職エージェントに相談すると良いでしょう。
転職エージェントは人事部と密にコミュニケーションを取っており、求職者が持っていない企業情報を把握しています。
転職活動は情報戦です。良質な情報を手に入れられるかどうかで勝負が決まります。
※各社のプロモーションを含みます。
転職してあなたの人生を変えられるのは、あなただけです。行動に移しましょう。
なかなか腰が重いのは、痛いほど分かります。しかし、転職に関する作業は苦痛ですが、転職する時だけです。
一方で、転職しなかった場合は、ずっと苦痛になる可能性があります。
その後のエンジニア人生が左右される重要な決定事項です。この記事をお読みになったあなたが、良いエンジニア人生が送れることを願っています。
株式会社ウィザードのアニジャと申します。SE(システムエンジニア)歴10年。 経歴は、SES客先常駐→.NETエンジニア→Webマーケター。SESエンジニアで磨耗した自身の経験から、SES業界について情報発信しています。 株式会社Synergy Career様が運営するCareer Journalにて、SES関連の記事を監修。 ■保有資格 基本情報技術者、応用情報技術者、情報セキュリティスペシャリスト