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そのような疑問をお持ちでしょうか。
なお、SESは「準委任契約」という契約になっており、SES自体に違法性はありません。
ただし、偽装請負や二重(多重)派遣といった違法行為を行なっているSES企業は、残念ながらゼロとは言えないのが実情です。また、違法とは言えないものの「グレーゾーン」というケースもあります。
当記事では、SESの違法性について詳しく解説します。
当記事の信頼性…当メディアは、株式会社ウィザードが運営しています。
受託・SES案件の開発実績は2000件以上。数多くのエンジニア、IT企業、転職事例を見てきました。
SESが違法になるかどうかを判断するためには、まずSESの契約体系について知る必要があります。
中でも、SESと派遣の違いについて知っておくと良いでしょう。どちらも、客先に常駐して業務を行うのが一般的ですが、両者には契約方法に違いがあります。
派遣…派遣契約
SES…準委任契約や請負契約
派遣契約は、事業許可を得た派遣企業のみ可能です。人材派遣事業の許可は、資本金が2000万円以上ないと得ることができません。
ところが、駆け出しのIT企業などでは、到底2000万円など用意できない、という懐事情のケースも多々あります。そのようなIT企業でも、SESであればエンジニアを現場に常駐させることが可能です。
準委任契約は、『本来なら顧客がしなければいけない作業を代行する』形となります。ポイントとしては、、自社の責任者の指示に従って作業を進める必要があり、顧客が直接指示を出せるわけではないという点です。
また、できあがった成果物に責任を負うことはありません。あくまでも時間単位で「労働力」を提供するのがSESの役割となります。
また、両者は「指揮命令権」に違いがあります。
派遣…派遣先企業に指揮命令権がある
SES…派遣先企業に指揮命令権がない(エンジニアを雇用している企業に指揮命令権がある)
SESでは、派遣先企業が指示を出すこと自体は可能ですが、作業員ではなく管理責任者に対して指示をする必要があります。もし顧客側が直接作業員に指示を出したいなら、派遣として契約する必要があります。
SESの準委任契約や請負契約では、派遣と違って客先(クライアント側)の企業が労働者へ指示を出すのは禁止されています。
もしSESなのに、客先からエンジニアに直接業務指示が来てしまうと、偽装請負と呼ばれる状態になってしまいます。
「一人でSES常駐するのは違法である」といった論調を見かけることがありますが、一人で準委任契約のSESで現場に行くこと自体が、直ちに違法性があるとは言えません。
準委任契約が2人以上ではないと違法であるという法的定めはなく、実態としては一人で現場に出向くケースはよくある話です。もちろん違法な一人SES常駐を容認するわけではありませんが、直ちに違法性があるとも言い切れません。
ただし、指揮命令関係などから偽装請負の恐れがあると判断されるケースもあります。当然ながら、一人体制ですと常駐現場にて何らかの指揮命令が発生するためです。SES契約では指揮命令権はSES企業側にあり、常駐先企業からエンジニアに直接指示を出してはいけない契約になっているためですね。
とはいえ、一人で常駐すると、周りに守ってくれるメンバーがいないため、スキルやコミュニケーション力に自信のないSESエンジニアにとっては、不安の多い常駐のやり方ですよね。
ですので、チーム体制で現場常駐できる企業を探すと良いでしょう。チーム体制で常駐すれば、様々なメリットがあります。
自社のチーム体制で現場に常駐していれば、圧倒的に仕事しやすい環境が生まれます。自社の上長が業務の舵取りをしていますので、偽装請負の疑いもありませんし、常駐先の企業から理不尽な要求がくることもありません。
二重派遣とは、SESエンジニアが客先企業で常駐している場合に、その客先企業からさらに別の場所へ派遣されることを言います。
二重派遣は労働者派遣法により禁止されている行為です。また、二重派遣により指揮命令権が客先企業に移っていることも問題です。
派遣契約法では、事前面談を行うことは違法と定められています。一方で、SES契約については事前面談を行うことは違法ではありません。
現場からの引き抜きで転職することについては、違法性はありません。
SESの引き抜きについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
スキルシートに虚偽の記載をすることで、無理やり現場にアサインするような企業が、少なからず存在します。
経歴詐称は「お金」が目的ではなく、客先に常駐するための嘘です。お金が目的ならば詐欺罪に問われる可能性もありますが、そうではないため直ちに違法性があるとは言い切れません。
とはいえ、経歴詐称を推奨するような企業はブラックなので、すぐにでも転職活動を始めることをおすすめします。
違法性のないSES企業では、数人のチーム体制で現場に入っているケースが多いです。客先から作業員に対して直接指示を受けることがないため、いわゆる「偽装請負」の疑いがありません。
自社の上長が業務の舵取りをしていますので、常駐先の企業から理不尽な要求がくることもありません。また、チーム単位で仕事を回せるので、お互いに休暇を取ったりしてフォローし合うことができます。
自社の社員同士のコミュニケーションもはかどるため、帰属意識も高まります。
経営の安定しているSES企業では、上場企業などからプライム(1次請け)案件をもらっているケースが多い傾向です。企業規模は関係ありません。中小企業であっても良質な仕事を受注している企業は存在しています。
一方で、多重下請けの案件ばかり請けている会社では、派遣契約ではなくSESの準委任契約による偽装請負が常態化しています。正式な派遣契約では多重派遣が法律で禁止されているため、多重下請け構造は成立しないためですね。
結果として、間に入った企業による「中抜き」も横行しています。
多重下請け、違法性のあるSES企業を排除するには、転職エージェントから情報を仕入れるのも有効です。
転職エージェントは人事部と密にコミュニケーションを取っており、求職者が持っていない企業情報を把握しています。
また、転職エージェントでは企業登録の際に、ブラック企業排除の取り組みを実施しています。そのため、違法性のあるSES企業が排除された環境です。
違法性のないSES企業を効率的に目指す方法としては、転職エージェントに相談すると良いでしょう。
転職活動は情報戦です。良質な情報を手に入れられるかどうかで勝負が決まります。
※各社のプロモーションを含みます。
転職してあなたの人生を変えられるのは、あなただけです。行動に移しましょう。
なかなか腰が重いのは、痛いほど分かります。しかし、転職に関する作業は苦痛ですが、転職する時だけです。
一方で、転職しなかった場合は、ずっと苦痛になる可能性があります。
その後のエンジニア人生が左右される重要な決定事項です。この記事をお読みになったあなたが、良いエンジニア人生が送れることを願っています。
株式会社ウィザードのアニジャと申します。SE(システムエンジニア)歴10年。 経歴は、SES客先常駐→.NETエンジニア→Webマーケター。SESエンジニアで磨耗した自身の経験から、SES業界について情報発信しています。 株式会社Synergy Career様が運営するCareer Journalにて、SES関連の記事を監修。 ■保有資格 基本情報技術者、応用情報技術者、情報セキュリティスペシャリスト