「ITブラック四天王ってどこの会社?」
IT業界について調べていると、たまに見かけるのが「ITブラック四天王」「IT暗黒四天王」という言葉です。
一般的に名前が挙げられてきたのは、以下の4社です。
ただし、これは現在の残業時間や離職率などを比較して作られた「ブラック企業ランキング」ではありません。2000年代ごろからネット上で使われてきた呼び名です。
しかも、ソフトウエア興業は2014年に破産。東京コンピュータサービスも2024年にTCSグループのITソリューション事業会社13社が統合され、現在は「株式会社マーブル」になっています。
では、現在も「ITブラック四天王」というイメージは当てはまるのでしょうか。この記事では、最新の公式データに加えて、最近の社員・元社員口コミも確認し、4社の現在を調べました。
※「ITブラック四天王」は過去にネット上で使われてきた呼称です。本記事は上記企業を現在の「ブラック企業」と認定するものではありません。口コミについては個人の投稿や投稿者を対象とした集計であり、会社全体の労働環境を示すものではないため、公式データと分けて紹介しています。
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目次
「ITブラック四天王」は、公的機関が認定したものでも、現在の労働環境を比較して決められたランキングでもありません。
2000年代ごろのネット上で使われていた、いわばIT業界のネットスラングです。当時は客先常駐型のIT企業に対して「IT土方」といった言葉も使われ、長時間労働や多重下請けなどが現在以上に強く批判されていました。
その中で、富士ソフトABC、ソフトウエア興業、トランスコスモス、東京コンピュータサービスの4社が「ITブラック四天王」として語られるようになりました。
ただ、この呼び名が広まってからすでに20年以上が経過しています。現在の労務データを見ると当時とは状況が変わっている会社も多いため、ここからは公式データと最近の口コミをもとに1社ずつ見ていきます。
四天王の中でも、現在までよく名前を見かけるのが富士ソフトです。かつては「富士ソフトABC」という社名でしたが、現在は富士ソフト株式会社として事業を続けています。
まず、現在の公式データを確認してみましょう。
| 項目 | 直近の公開値 |
|---|---|
| 月平均残業時間 | 22時間20分 |
| 有給休暇取得率 | 78.2% |
| 在宅勤務者の割合 | 39.2% |
| 離職率 | 6.6% |
富士ソフトではコアタイムのないフレックスタイム制度や在宅勤務制度も導入されています。会社全体の公開データを見る限り、長時間労働が常態化しているような数字ではありません。
OpenWorkの富士ソフトの社員口コミでは、月平均残業時間24.5時間、有給休暇消化率70.5%、法令順守意識4.3/5.0となっています。
転職会議の富士ソフトの口コミでも、休暇を調整しやすいという評価がある一方、担当するプロジェクトや繁忙期によって残業が増えるという投稿が見られます。
公式データと口コミサイトの集計を見る限り、現在の富士ソフトに20年以上前の「ブラック四天王」というイメージをそのまま当てはめるのは難しいでしょう。労務面については当時から改善が進んでいると考える方が自然です。
一方、最近の口コミでもプロジェクトによる業務量の違いや、育成・昇進などについて不満を述べる投稿はあります。労働時間や休暇制度とは別に、仕事内容や評価制度への感じ方には差があるようです。
ソフトウエア興業については、現在の労働環境を検証することができません。会社自体がすでに破産しているためです。
帝国データバンクによると、ソフトウエア興業は2014年6月に東京地裁から破産手続き開始決定を受けています。2013年3月期末時点の負債は約191億2,400万円でした。
同社は通信・情報系を中心にソフトウェア開発を手掛け、2008年3月期には約310億円の売上高がありました。その後は収益悪化などが重なり、最終的に破産しています。
そのため、ソフトウエア興業について「現在もブラックなのか」を判定することはできません。4社のうち1社がすでに存在していないことからも、「ITブラック四天王」は現在のIT企業ランキングではなく、過去のIT業界で使われていた言葉だと分かります。
トランスコスモスも、昔から「ITブラック四天王」の一社として名前が挙げられてきました。
ただ、現在のトランスコスモスはITだけを手掛ける会社ではありません。デジタルマーケティング、EC、コンタクトセンター、BPOなど幅広い事業を展開しています。
例えばデジタル系部門が公開した2024年6月の社内調査では、出社頻度について「月1日未満」が40.6%、「月1日程度」が24.9%でした。全社員を対象とした数字ではありませんが、リモート中心で働いている社員も多いことが分かります。
OpenWorkのトランス・コスモスの社員口コミでは、月平均残業時間18.9時間、有給休暇消化率77.3%、法令順守意識4.5/5.0となっています。
一方、待遇面の満足度は2.3/5.0、人材の長期育成2.5/5.0、人事評価の適正感2.7/5.0となっており、労働時間や休暇とは少し違った部分で評価が低くなっています。
Indeedのトランスコスモスの社員口コミでも、勤務時間・残業に比べて、昇進や上司との関係などの評価は低めです。
最近の口コミを見る限り、長時間労働という意味では昔の「ブラック四天王」というイメージから状況は変わっていると考えてよさそうです。一方、給与や昇進、評価制度などについては不満を感じている社員・元社員も見られます。
「現在も激務な会社」というより、労務環境は改善しつつ、待遇やキャリア面では評価が分かれている会社と捉える方が、現在の口コミには近いでしょう。
4社の中で、会社そのものが大きく変わっているのが東京コンピュータサービスです。
東京コンピュータサービス株式会社は、2024年10月にTCSグループのITソリューション事業会社13社と統合し、現在は「株式会社マーブル」になっています。
マーブルはシステムインテグレーション、システムコンサルティング、クラウド、ITインフラ、ソフトウェア・ハードウェア開発などを手掛けています。2026年4月時点の従業員数は8,700名です。
OpenWorkのマーブル(旧:東京コンピュータサービス)の社員口コミでは、以下のような集計になっています。
| 口コミ集計 | 数値 |
|---|---|
| 総合評価 | 2.65 / 5.0 |
| 待遇面の満足度 | 1.8 / 5.0 |
| 人材の長期育成 | 2.2 / 5.0 |
| 人事評価の適正感 | 2.4 / 5.0 |
| 月平均残業時間 | 18.0時間 |
| 有給休暇消化率 | 69.3% |
| 法令順守意識 | 3.9 / 5.0 |
※OpenWorkの数値は投稿者を対象とした集計であり、全社員の平均や評価を示すものではありません。
月平均残業時間は18.0時間となっており、少なくとも口コミサイトの集計上は「長時間労働が非常に多い会社」という数字ではありません。
一方、待遇面の満足度は1.8/5.0、人材の長期育成2.2/5.0、人事評価の適正感2.4/5.0となっています。
転職会議のマーブル(旧・東京コンピュータサービス)の口コミでも、最近の投稿には給与や昇給について不満を述べるものが見られます。
そのため、労働時間という点では昔の「ブラック四天王」というイメージとはかなり変わっている一方、給与・昇給・評価制度については現在も評価が分かれている、というのが最近の口コミから読み取れる状況です。
また、2024年に13社を統合してマーブルになっているため、旧・東京コンピュータサービス時代の口コミと現在の会社をまったく同じものとして扱わない方がよいでしょう。
ここまでの公式データと最近の口コミをまとめると、以下のようになります。
| 会社 | 現在の状況 | 2026年時点の見方 |
|---|---|---|
| 富士ソフト | 事業継続 | 残業・有休など労務面は昔のイメージから改善。案件による業務量や育成・昇進については不満の口コミもある |
| ソフトウエア興業 | 2014年破産 | 現在の労働環境は判定できない |
| トランスコスモス | 事業継続 | 残業は突出しておらず、昔の激務イメージとは異なる。給与・昇進・評価については不満の口コミもある |
| マーブル (旧TCS) | 2024年に13社統合 | 残業時間は突出していない。給与・昇給・待遇面については評価が低め |
結論として、2026年現在もこの4社をまとめて「ITブラック四天王」と呼ぶのは実態に合っていないでしょう。
特に労働時間や休暇といった労務面を見ると、富士ソフト、トランスコスモス、マーブルはいずれも「極端な長時間労働が当たり前」という数字ではありません。20年以上前に広まった「ブラック四天王」という評判を、そのまま現在の会社に当てはめるのは難しくなっています。
一方、最近の口コミまで見ると、富士ソフトでは案件による業務量や育成・昇進、トランスコスモスでは給与や昇進、マーブルでは給与・昇給・待遇などについて不満を述べる投稿があります。
労務環境は昔より改善しているものの、給与や昇給、評価制度など別の部分では不満が残っている会社もある。現在の3社については、このくらいの捉え方が実態に近そうです。
個人的には、ここが一番面白いところです。
IT業界は変化が速いのに、会社の評判は意外と長く残ります。一度「ブラック企業」「激務」「大量採用」「客先常駐ばかり」といったイメージがネット上に定着すると、その後に会社が制度や組織を変えても、昔の記事や掲示板の書き込みは検索結果に残り続けます。
富士ソフトは分かりやすい例でしょう。現在は残業時間、有休取得率、在宅勤務者の割合、離職率まで公開しており、労務面の数字を見ると昔のイメージとはかなり変わっています。それでも「ブラック四天王」という20年以上前からある言葉とセットで検索されています。
東京コンピュータサービスに至っては、2024年の13社統合によって現在はマーブルという会社になりました。
今回3社の現在を調べた限り、労働時間や休暇といった労務面では改善が見られ、過去の「ブラック四天王」という評判をそのまま当てはめる状況ではありません。
「昔ブラック四天王と呼ばれていたから避ける」というより、現在どの部分が評価され、どの部分に不満が集まっているのかを見る方が実態をつかみやすくなっています。
「ブラック四天王に入っているか」より、私なら実際の仕事内容や会社の運営を見ます。
例えば、本人の了承なく経歴を実態以上に盛る、給与や評価基準について十分な説明がない、本人の希望を無視して案件を決める、求人票と実際の仕事内容が大きく違う、といった会社です。
最初にテストや運用を経験すること自体が悪いとは思いません。私の場合も、その経験を経て開発へ進めました。問題なのは、本人が次の工程へ進みたいと思っているのに、何年経っても同じ作業しか経験できない状態です。
「ブラック四天王に入っているか」より、その会社で3年働いたとき、自分の職務経歴書に何が増えているか。エンジニアとして転職先を選ぶなら、私はこっちを気にします。
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ITブラック四天王として名前が挙げられてきたのは、富士ソフトABC(現:富士ソフト)、ソフトウエア興業、トランスコスモス、東京コンピュータサービス(現:マーブル)の4社です。
今回、現在の公式データと最近の口コミまで確認しましたが、2026年現在も4社をまとめて「ブラック四天王」と評価するのは難しいというのが結論です。
ソフトウエア興業はすでに破産。富士ソフト、トランスコスモス、マーブルについては、残業時間や有休取得率などを見る限り、労務面は過去の「ブラック四天王」というイメージから変わっています。
一方、最近の口コミを見ると、給与や昇給、評価制度、育成などについて不満が残っている会社もあります。「昔ブラックだった会社が今もブラック」というより、労務面は改善しながら、別の部分では課題を感じている社員もいるというのが現在の状況に近いでしょう。
20年以上前の「ITブラック四天王」という言葉だけで、現在の会社を判断する必要はなさそうです。
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引用:株式会社リクルート-リクナビNEXT

株式会社ウィザードのアニジャと申します。SE(システムエンジニア)歴10年。 経歴は、SES客先常駐→.NETエンジニア→Webマーケター。SESエンジニアで磨耗した自身の経験から、SES業界について情報発信しています。 株式会社Synergy Career様が運営するCareer Journalにて、SES関連の記事を監修。 ■保有資格 基本情報技術者、応用情報技術者、情報セキュリティスペシャリスト
